投資・起業

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会社倒産からの船出 第4章:ゼロからの発信

最初の報酬「36円」に感激した夜から、三浦智也の生活には小さな変化が生まれた。以前は午前中をぼんやりと過ごしていたが、今では朝食をとるとすぐにパソコンの前に座り、昨日の記事の見直しや新しいネタのメモに取り掛かっている。 だが、現実は甘くない...
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会社倒産からの船出 第3章:クリックの向こう側

深夜の台所で、お湯を沸かしながらスマホを弄っていた。白湯を飲む癖がついたのは、胃が弱くなったからか、それとも空腹をごまかすためだったか。窓の外では雨が降っていた。静かな、寂しい夜だった。 何気なくSNSを眺めていると、ある広告が目に止まった...
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会社倒産からの船出 第2章:日雇いと介護

三浦智也は、朝四時の薄暗い空気の中、自転車をこいでいた。向かうのは、郊外の工業団地にある倉庫。週三回の荷降ろしのアルバイトだ。 時給は千百円。五時間勤務で、手取りは交通費を除いて四千円にも満たない。それでも、何もないよりはましだった。 「お...
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会社倒産からの船出 第1章:終わった肩書

三浦智也は、十年以上勤めた広告代理店のプレゼンルームにいた。照明が落とされ、ホワイトスクリーンにプロジェクターの光が投影される中、彼の声だけが静まり返った会議室に響いていた。 「……つまり、生活者目線の訴求が、いま求められている価値です。単...
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65歳AIとネット販売 最終章

最終章「未来を継ぐもの」夏の終わり、風がほんの少しだけ涼しくなり始めた頃。
正吉はひとり、倉庫の前に立っていた。「こんなに大きゅうなるとはのう……」最初は自宅の一角だった。
それが今では、職人たちと使う共同作業場、商品管理倉庫、オンライン受...
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65歳、AIとネット販売 第八章

第八章「AIと正吉、全国へ」「正吉さん、出ましたよ!掲載されました!」ある日、陽太がいつになく興奮した様子で正吉にタブレットを差し出してきた。画面には、地元のニュースサイト『ちいき発見マガジン』の特集記事が掲載されていた。タイトルは、『65...
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65歳、AIとネット販売 第七章

第七章「東京からの手紙」春が過ぎ、初夏の匂いが町に漂いはじめたある日。
正吉の元に、一通の封書が届いた。差出人の欄には、見慣れた名前――息子・拓也の筆跡。封を開ける前に、正吉はしばらく指先を止めていた。
息子が東京に転勤してから、月に一度ほ...
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65歳、AIとネット販売 第六章

第六章「詐欺かも? 大ピンチ」「正吉さん、これ……見てください」陽太が差し出したノートパソコンには、見覚えのあるページが開かれていた。
正吉印のぬか漬け、和紙の文香、手縫いの前掛け――どれも彼が販売しているはずの商品だ。だが、そこは見慣れた...
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65歳、AIとネット販売 第五章

第五章:「正吉印」はじめました「もっと“自分らしい”もんを売りたいんや」正吉がそう思ったのは、ある夕方、段ボールの山を見下ろしたときだった。
楽天で仕入れた商品は売れている。利益も出ている。でも、ふと心に穴が空いたような感覚が残った。「ワシ...
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65歳、AIとネット販売 第四章

第四章:一人じゃないって、どういうこと?七月の夕方。空が薄く赤く染まり、団地のベランダから見える景色にも、ほんのりと夏の匂いが混じり始めていた。段ボールの山は減った。発送の手間もない。FBAの導入で、正吉の生活に少しだけ「余裕」が生まれた。...