午後のコラム

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「もう遅い」と思ったときが、いちばん若い

「やってみたかったけれど、もう遅いよね」 そう口にした瞬間に、どこかで扉が閉じてしまうような気がした。年齢を理由に、自分の可能性を狭めてしまうのは、きっともったいないことだ。60歳を過ぎてから英会話を始めた友人がいる。「若いころより頭が固く...
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椅子をもうひとつ、置く理由

いつからだろう、読書用の椅子の隣にもうひとつ椅子を置くようになったのは。最初は、ただの偶然だった。模様替えのついでに空いた椅子を並べてみたら、意外と落ち着いた空間になった。それだけのこと。でも、そこに“誰かが座ってくれるかもしれない”という...
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本を開く手が止まるとき、それは誰かを想っているとき

本を読んでいると、ふと手が止まることがある。文章の中に見えた言葉や情景が、ころを合わせて誰かを思い出させる。昔読んだ小説の一文。夫が書していた日記。子どもが筆筆で書いた本の裏表等。それらが覚醒裏のバックミュージックのように作用して、思い出し...
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好きな香りに囲まれて暮らす幸せ

部屋に入ったとき、ふんわりと漂ってくる香りに「ただいま」と心が返事をする。最近、そんな“香りのある暮らし”を意識するようになった。昔から匂いには記憶が宿るというけれど、本当にそうだと思う。カモミールティーの香りをかぐと、あの人と語り合った夜...
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ゆっくり歩くという選択

最近、散歩の速度を少しだけ落とすようにしている。信号に急いで駆け出すのではなく、赤ならそのまま立ち止まる。風が気持ちよければ、わざと遠回りして公園を通る。そんな“ゆっくり”が、思いのほか心地よい。若い頃は、いつも急いでいた。電車の時刻、納期...
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“さみしさ”が教えてくれる、人とのつながり

夜、ふとテレビを消した瞬間、部屋が静まりかえった。その沈黙の中に、ぽつりと“さみしさ”が顔を出した。歳を重ねて、子どもたちが巣立ち、仕事も一段落した今、自分の時間は増えた。でもその分、誰とも言葉を交わさない日も増えた。誰かと話したくてスマホ...
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60歳からの恋は「感情」より「共鳴」だった

若いころの恋は、燃えるような感情が先に立っていた。好きかどうか、会いたいかどうか、その気持ちの強さで心が揺れ動いた。けれど、60歳を過ぎた今、その“熱”はいつのまにか“響き”へと変わっていた。ある日、一緒に散歩をしていた人がふと「風が気持ち...
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静かな午後のラジオと、過去の記憶

静かな午後、ひとりで部屋にいると、ラジオから流れてきた曲が、ふいに昔の記憶を引き出した。古いフォークソングだった。歌詞の一節が、まるで若かった日の自分にそっと触れるようで、胸が少しだけ熱くなった。窓の外に広がる陽だまりも、その瞬間だけ、あの...
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会えない時間が教えてくれた、あの人の大切さ

あの人に会えなくなって、もう何年になるだろう。最初は“少し距離を置こう”くらいの気持ちだった。それが、仕事の都合やお互いの生活の変化に押されて、いつしか連絡も途絶えがちになった。時間が経つほどに、「まあ、もういいかな」と思う気持ちと、「元気...
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名前を呼ばれることの、思いがけない嬉しさ

カフェで名前を呼ばれたとき、ふと心が温かくなったことがある。たまたま近所の知り合いがいて、「あら、○○さん」と声をかけてくれたのだ。それだけのことなのに、不思議と一日が明るくなった気がした。年齢を重ねると、誰かに名前を呼ばれる機会が減ってい...