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人生の第2幕 第6章:地域とつながる

「メダカを通じて、誰かと繋がっている――そんな感覚が、こんなに嬉しいものだったとはな。」秋の夕暮れ、養殖池の前で水面をぼんやり眺めながら、忠男はつぶやいた。小さな成功が、少しずつ彼の周囲を変えはじめていた。ネット販売、講座開催、口コミ。これ...
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人生の第2幕 第5章:口コミと小さな成功

即売会からの帰り道、忠男の胸の内には、久しく感じたことのなかった高揚感があった。「久々に、人に“ありがとう”って言われたな……」単なる物売りではない、自分が育てた命が、誰かの家で大切にされる。その実感が、何よりも嬉しかった。営業マン時代に感...
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人生の第2幕 第4章:メダカ養殖の始まり

メダカの小さな命を手にしてから、忠男の毎日は少しずつ色づき始めていた。朝、日が差し込む前に起きて水槽を覗く。昨夜産み落とされたばかりの卵が水草の影に光っているのを見ると、自然と笑みがこぼれた。これまで経験してきたビジネスとは違い、数字でも成...
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人生の第2幕 第3章:メダカとの出会い

忠男は、自分の人生がどこに向かっているのか分からないまま日々を過ごしていた。失敗続きの起業に疲れ果て、心の中で一度「何もしたくない」という気持ちが膨らみつつあった。しかし、何もせずに家でじっとしているわけにもいかない。だからこそ、釣りに行っ...
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人生の第2幕 第2章:失敗の連続

退職から数ヶ月が過ぎた。忠男は何度も「これから何をするべきか?」と考え続けていた。釣りが気晴らしにはなったが、それだけでは生活が成り立たない。退職金をすべて使い果たすわけにはいかないし、年金だけでは足りない。何か新しい仕事をしなければならな...
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人生の第2幕 第1章:定年退職の日

山田忠男(やまだ ただお)、60歳。その男は、ずっと倉庫業界の営業マンとして生きてきた。東京近郊の物流拠点で、40年間、倉庫を管理する仕事をしてきた。朝早くから夜遅くまで、貨物がスムーズに流れるように手を尽くし、仲間たちと連携し、納期に追わ...
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会社倒産からの船出 第8章:再出発の朝

冬が明け、街に春の気配が漂い始めた頃、智也は自宅の書斎で、ひとつのメールを読み終えていた。 「三浦様、貴媒体を拝見し、ぜひ取材をお願いしたく……」 某業界誌からの掲載依頼だった。個人で運営していたアフィリエイトメディアが、ついにメディアとし...
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会社倒産からの船出 第7章:転機

初夏の風が網戸越しに部屋を通り抜けていく。三浦智也はパソコンの前で、後輩からのメールを見つめていた。 「よかったら、うちのプロジェクト手伝ってもらえませんか?」 送り主は、かつて同じ広告代理店で働いていた後輩・藤原だった。今はスタートアップ...
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会社倒産からの船出 第6章:数字の向こうにいる人

午前五時、目覚まし時計よりも早く目が覚めるのが、最近の智也の日常だった。父の入院と介護施設への入居が決まり、生活のリズムがようやく整ってきたとはいえ、胸の奥に巣食う焦燥感は消えない。 パソコンを立ち上げ、アナリティクスの画面を開く。昨日公開...
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会社倒産からの船出 第5章:光と影の交差点

父の病状が急変したのは、初めて月五万円を超える収益を得た翌週のことだった。 「三浦さん、今お父様のことでお時間いただけますか?」 訪問看護師からの一本の電話が、智也の朝を打ち砕いた。 「先ほど様子を見に行ったところ、意識が少し混濁していて。...