ブログ 【マフラー】風の強い朝、彼が巻いてくれた毛糸のぬくもり ― 言葉はなくても伝わる、やさしい仕草のかたち。 冷たい風が吹いた朝、駅前で彼が私の首にマフラーを巻いてくれた。何も言わず、ただその手が、私の襟元をそっと覆っただけ。でもそのときの温もりを、私は今でも忘れられない。 —— ふたりが知り合った... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【カレンダー】めくれずに残った一枚と、止まった記念日 ― あの季節に立ち止まった、想いの記録。 壁に掛けられたままのカレンダーが、最後にめくられたのは、去年の春だった。「また来るね」と言って、彼が部屋を出た日から、そこだけ時間が止まっていた。 —— ふたりが付き合い始めたのは、梅が咲くころ。そ... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【オルゴール】開かれた引き出しと、懐かしい旋律 ― 忘れられないメロディが、記憶の扉を開ける。 その音は、思いがけずにやってきた。タンスの引き出しを整理していた彼女が、ふと手にしたのは、小さな木箱だった。つまみを回すと、ひときわ澄んだ音色が、部屋に流れた。それは、二度と聴くことはないと思... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【キャンドル】窓辺の灯りが揺れた夜と、ほんの少しの勇気 ― 炎のゆらぎが、言葉をそっと後押ししてくれた。 その夜、部屋の灯りは消してあった。窓辺にひとつ、キャンドルが灯っているだけ。その淡い光が、揺れる彼女の影を静かに照らしていた。 「なんだか、少しだけ話せそうな気がして……」そう言って彼女は、... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【手帳】空白のページに綴られた、“ふたり”の予定 ― 再びめくられたページに、未来が少し見えた日。 「あのね、これ…昔、あなたと出かけた日のこと、書いてたんです」そう言って彼女が差し出したのは、少し端が丸くなった手帳だった。革の表紙には細かな傷がいくつかあり、それがむしろ、長く使われてきた... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【アンティークミラー】彼女の部屋にあった、静かな鏡と秘密 ― 映り込む過去と、心に残る“姿”の話。 初めて彼女の部屋に招かれた日、最初に目を奪われたのは、窓辺に置かれた小さな鏡だった。木製のフレームは細かな彫刻が施されていて、ほんのりと飴色に光っている。周囲に置かれたドライフラワーや文庫本よりも、... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【ひざ掛け】映画のエンドロールと、ふたりでくるまったブランケット ― ソファに沈むふたりの、寄り添う記憶。 雨の午後、カーテンを閉じたリビングに、やわらかな光だけが残っていた。ソファに並んで座るふたりの膝には、一枚のひざ掛け。毛足の長いベージュのブランケットが、まるで一枚の風景のようにふたりを包んでいた。... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【ペンダントライト】夜のカウンターを照らす、やわらかな灯り ――話し声だけが響く、ふたりだけの時間の背景に。 カウンターの上に吊るされた、小さなペンダントライト。琥珀色の光が、ふたりの影をほんのりと浮かび上がらせていた。 グラスの縁に光が映り、テーブルの木目が静かに浮き上がる。それだけで、夜の部屋が... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【ティーポット】あの日、ふたりで注いだカモミールの香り ――小さなティータイムが、心をほどいた瞬間。 「お茶でも飲みませんか?」彼がそう言ったのは、冬の寒さが少しやわらいだ午後だった。 陽が差す窓辺に、小さな木のテーブル。彼女はそこに、ひとつのティーポットが置かれているのを見つけた。 ぽってりと... 2025.06.12 ブログ物語の道具
ブログ 【ブックカバー】彼が選んだ一冊と、革のぬくもり ――本を開く手の記憶と、静かな午後の読書時間。 「この本、貸しますよ。たぶん、好きだと思います」そう言って差し出された文庫本は、淡い飴色の革で包まれていた。一見して手触りのよさそうなブックカバーに、彼女は思わず指を這わせた。 「…カバー、素... 2025.06.12 ブログ物語の道具