📘第10話:また会える、その時まで

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引っ越しは、思ったより静かに進んだ。

澄子さんがこの街を離れることを決めたのは、数週間前だった。
妹さんの住む地方へ移るという。
一人暮らしの不安と、体調のことを考えての決断だった。

「また戻ってくるかもね」
そう言って笑った彼女の笑顔は、いつもと変わらなかった。
でも、その言葉に“さよなら”が混ざっていることを、私はちゃんと感じていた。


引っ越し当日の午後。
ダンボールはすでにほとんど片づけられ、
残ったのは、テーブルの上に置かれた一つの小箱だけだった。

「これ、渡しそびれてたの」
彼女がそう言って差し出してきたのは、
木製のフォトフレームだった。

中には、去年の春にふたりで出かけた公園の写真。
桜の下で笑っている私と、少し恥ずかしそうに笑う彼女。
シャッターを切ったのは、たまたま近くにいた若いカップルだった。

「名前、入れてもらったの」
フレームの下には、小さく彫られていた。
“Shouichi & Sumiko — Spring, Still Blooming.”


私は言葉を失って、しばらく写真を見つめていた。

「ちょっとクサいかしら」
「……いや。なんか、うれしい」
それだけしか言えなかった。

彼女は「よかった」と、そっとうなずいた。


「こういうのって、若い人のほうが平気で贈るじゃない?
でもね、年を取ると、照れも増えるし、
何より“あとどれだけ伝えられるか”を考えちゃうのよ」

私は黙って頷いた。
その言葉の奥にあるものを、ひとつひとつ受け取るように。

「だから、これは“また会える”っていう約束」
彼女はそう言って、箱のふたを閉じた。


駅までの道のり、ふたりで歩いた。

冬の風が頬に冷たかったけれど、日差しはやわらかだった。

「来年の桜、こっちでもう一回見たいわね」
「じゃあ、同じ場所でまた写真を撮ろうか」
「そのときは、もう少し若く映るように、服も考えなきゃ」

笑い合いながら、私はポケットの中で、小さな箱を握りしめていた。

彼女を見送る前に、渡したいものがあった。


駅の改札の前で、私はそっと彼女の手に小包を渡した。
「何?」
「名前、入ってるから開けるのは向こうに着いてからにして」
「……なにそれ、ずるい」
「おあいこだよ」

彼女は小さく笑って、コートのポケットにそれをしまった。

電車が入ってくる音がして、アナウンスが響いた。

「……行ってくるね」
「……うん。行ってらっしゃい」


改札を通る前、彼女は振り返って言った。

「また会える。その時まで、元気でいてよ」
「そっちこそ」

そして、いつもと同じ笑顔で、手を振った。


家に戻って、あらためてフォトフレームを手に取った。

名前と一緒に刻まれた春の記憶。
ガラス越しに映るのは、過去だけじゃなくて、
たしかにこれからも続いていく“約束”だった。

私はそれを、いつも座っている椅子の横に置いた。
午後の光が、そっと木枠を照らしていた。


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