📘第6話:ひとつの椅子と、ふたつの影

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「そこ、いいの?」

そう尋ねたのは、澄子さんだった。
私はいつものように、リビングの窓際に置かれた椅子に腰をかけていた。

「もちろん。ほら、日が当たってあったかいし」
私は軽く笑って、手招きした。

窓の外では、風が枝を揺らしている。
カーテン越しに差し込む午後の光が、床にふたり分の影を落としていた。


この椅子は、十年ほど前に買ったものだった。
背もたれが高く、やや硬めのクッションがちょうどよい。
日向に置くと、そのまま昼寝もできる。

「私、あの頃からこの椅子が好きだったのよ」
「え? そうなの?」
「うん。でも、あなたがいつも座ってるから、遠慮してたの」

「……遠慮なんて、する間柄か?」
そう言って笑ったつもりだったが、彼女は真顔のままだった。


「椅子って、なんとなく“その人の場所”って感じがあるでしょ」
「あるな」
「でも、ずっと見てたの。あの椅子に座ってるあなたを」

澄子さんはそう言って、ためらうように椅子の前に立った。

「じゃあ、今日は貸してあげる」
「え?」
「今日はね、澄子さんの日。主役なんだから」

私はわざとらしく立ち上がって、彼女にその椅子を譲った。


彼女は、少し驚いた顔をした後、静かに腰をおろした。

「……うん。やっぱり、いい椅子」
背もたれに体を預けながら、そう言って目を細めた。

「でも、お尻がちょっと冷たいかも」
「そう思って、これ買っといた」
私はソファの上に置いていた低反発の座布団を差し出した。

「……用意がいいのね」
「年の功だよ」


午後の光が、彼女の横顔をあたたかく包んでいた。
ふたりの影が、床に並んで揺れていた。

「椅子ひとつで、こんなに気持ちが変わるのね」
「そう?」
「うん。なんだか、“ちゃんとそこにいていい”って感じがする」
「それなら、よかった」

彼女はそっと目を閉じた。
椅子に沈むように、ゆっくりと呼吸を整えながら。


私は、テーブルに置いてあった紅茶を手に取った。

「この椅子、ふたりで座れるくらい広かったらよかったのにな」
「……そのときは、ベンチにして」
「じゃあ、次はベンチ買うか」
「それじゃあ、今度はふたりでお昼寝しないとね」

小さな笑い声が、部屋の中に広がっていった。
外の風の音さえ、やわらかくなった気がした。


椅子はひとつだったけれど、
その影は、ふたつ並んでいた。

同じ午後を、同じ場所で過ごすこと。
それが、こんなにも満ち足りたことなのだと、
私はそのとき、あらためて思った。


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