旅の最後の夜、ふたりはペンションの一室にいた。
チェックイン時に渡されたランタンが、部屋の小さなテーブルの上でゆらゆらと揺れている。
この宿は、あえて部屋の照明を控えめにし、キャンドルやランタンの灯りで過ごすことをコンセプトにしていた。
外の雪景色も、室内の影も、すべてがやわらかく包まれている。
夕食後、ふたりはテーブルをはさんで向かい合い、ハーブティーを飲んでいた。静かな音楽が、小さく流れていた。
「こんなふうに、一日が終わっていくのって……いいですね」
真理子が言った。
「昼間より、夜の方が正直になれる気がします」
誠が、ランタンの明かり越しに微笑んだ。
テーブルの上には、今日の冬市で買った香水の小瓶が置かれていた。ほんの少し香りを漂わせておくと、部屋の空気まで落ち着いた色になる気がした。
しばらくして、真理子がそっと口を開いた。
「……今まで、人生に“次の章”があるなんて思っていませんでした。ずっと“あとがき”を書いてるような気がしてて」
「僕も同じです。けれど、こうしてまた誰かと旅をして、語って、笑って……それがまだできるんだって、思い直せたのは真理子さんのおかげです」
誠の言葉に、真理子はゆっくりと顔を上げた。
明かりの中で、その目には涙がにじんでいた。
「ありがとうって、ずっと言いたかった。でも、言うタイミングがわからなくて」
「今が、その時じゃないですか?」
誠がそっと手を伸ばした。真理子はためらいながらも、その手を取った。
しんとした空気の中、ランタンの炎がわずかに揺れた。
その後、ふたりはベッドに並んで腰かけ、窓の外を見つめた。
雪は静かに降っていて、街の灯りが遠くにぼんやりと浮かんでいた。
「春になったら、どこへ行きましょうか」
真理子が、まるで未来の日記を読むような声で言った。
「桜の咲く町がいいですね。川沿いとか、古い橋のある場所とか」
「じゃあ……また、一緒に」
誠は「ええ」とだけ答えた。
夜がゆっくりと更けていった。
ふたりの間には、もう何も言葉はいらなかった。
ただそこに、ひとつの小さな灯りが、あたたかく灯っていた。
■登場アイテム紹介:第5章「灯りを灯す夜」
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