翌朝、窓の外が白く霞んでいた。
前夜のうちに雪が降ったらしく、浅く積もった粉雪が木々の枝や屋根を柔らかく覆っている。
「雪、ですね」
旅館の朝食を終えたあと、真理子が窓を見ながらつぶやいた。
「せっかくなら、軽井沢銀座の古書店を覗きませんか? 雪の中の本屋というのも、なかなか風情がありますよ」
誠の提案に、真理子は小さく笑って頷いた。
ふたりは厚手のコートを羽織り、街道沿いの坂をゆっくりと歩いた。足元からしんしんと冷えが伝わってくるが、雪の白さがすべての音を吸い込むように静かで、ふたりの会話まで柔らかく包みこんだ。
通り沿いにある木造の小さな書店――その名も「小枝文庫」は、冬の間もひっそりと営業していた。扉を開けると、木の香りと紙の匂い、そしてストーブのあたたかな空気が迎えてくれた。
「うわぁ……」
思わず真理子が声を上げた。
棚には文学全集、古地図、写真集、詩集などが丁寧に並んでおり、その間に小さな椅子や読みかけの本が置かれている。時間の流れが、ここだけゆっくりと違っていた。
「好きな本、ありますか?」と誠が聞いた。
「詩集ですね。昔は谷川俊太郎さんの詩をよく読んでました。言葉が少ないぶん、想像がふくらむから」
ふたりで詩の棚を見ていると、1冊の古びた装丁が目にとまった。
『静かな雪にうたえば』というタイトルの詩集。知らない詩人だったが、手に取るとまるで今のふたりに語りかけてくるようだった。
「それ、気になりますね」
誠も同じ本に手を伸ばした。
ふたりの指が、同時に本に触れた。
一瞬、視線が重なって、互いに笑った。
「……買いましょうか。ひとり一冊、じゃなくて、半分ずつ読むってことで」
レジでその本を購入し、ふたりは店主に勧められた店内奥の読書スペースへ移った。木製の椅子と毛布、温かいココアが用意されていた。
読みながら、ときどき詩を読み上げてみる。
雪の白さ、静けさ、誰かを想うぬくもりが、ページごとにそっと染み込んでいた。
「文字って、心の温度を映すんですね」
真理子がぽつりとつぶやいた。
「その言葉、絵に描きたくなります」
言葉と絵、静けさとぬくもり――
雪に閉ざされた書店のなかで、ふたりは少しずつ、自分の「過去」ではなく、「いま」に心を向けはじめていた。
■登場アイテム紹介:第2章「雪の書店、ふたりの本棚」
1. 【滑りにくく防寒性の高いシニア向け冬用ブーツ】
雪道でも安心。軽井沢のような寒冷地の街歩きにも最適な防寒ブーツ。
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2. 【暖かくて持ち歩きやすいポケットサイズカイロ】
書店での読書や街歩きにぴったりの手のひらサイズ。寒さ対策とエコを両立。
▶ 参考価格:約2,000円〜
3. 【シニア世代にも読みやすい詩集】
真理子がかつて読んでいた詩集。シンプルで深く、ふたりの会話にもつながる一冊。
▶ 参考価格:約700円前後
4. 【読書に集中できる静音毛布】
書店の読書スペースでも、家でも重宝する軽くて柔らかい静音毛布。
▶ 参考価格:約12,000円〜
5. 【本と一緒に贈りたくなるココアセット】
雪の日の午後、本を読みながらふたりで飲んだような、心ほどけるココア。
▶ 参考価格:約2,500円〜