📘第9話:冬の午後、湯気の向こうに

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湯気が、ゆっくりと上がっていた。

その日も、寒かった。
カーテンの隙間から差し込む光はあったかいのに、
床を歩くと、空気の冷たさが膝下にまとわりついてくるようだった。

「乾燥してるわね。朝、唇が割れちゃって」
澄子さんは、そう言って小さな加湿器のスイッチを入れた。

シュウウ、と音を立てて白い蒸気が立ち上る。
その様子を見ているだけで、なんとなく心が落ち着いていく。


「この加湿器、音も静かでいいのよ」
彼女はスチームの向こうからそう言った。
「寝てるときも気にならないし、何より蒸気がやさしいの」
「やさしい蒸気?」
「うん、なんとなく、抱きしめられてるみたいな感じ」

私は笑った。
でも、すぐに「わかる気がする」と返した。


テーブルの上には、彼女が淹れてくれたハーブティーが湯気を立てていた。
カモミールとレモンバームの香り。
私には少し甘すぎるが、彼女はそれがいいと言う。

「コーヒーだと胃が重くなるのよ」
「まあ、年を取るって、そういうことだな」
「そうね。代わりに“やわらかい味”が好きになるの」
「やわらかい味、ね」
「そう。あったかくて、ちょっとだけ甘くて、でも残らない味」

それはまるで、いまのふたりの関係みたいだと思ったけれど、口には出さなかった。


「加湿器って、昔はやかんだったのよね」
「ストーブの上に乗せるやつ?」
「そう。それで部屋じゅうがカビくさくなって、母に怒られたわ」
「いい時代だったんだな」

彼女は笑いながら、加湿器の水を足した。

「でも、いまは便利よ。これは自動で止まるし、倒れても安心。
シニア向けに作ってあるらしいの」

「シニアって言葉、ちょっとだけ傷つくんだよな」
「ふふ、じゃあ“大人向け”にしましょうか」
「……こっちの方が余計に照れるな」


窓の外には、細かい雪がちらついていた。
気づかぬうちに、冬は深くなっていたらしい。

湯気の向こうにいる彼女の輪郭が、少し揺れて見えた。

「寒いのは苦手だけど、こういう日って、なんだか満たされるわね」
「動けないからこそ、心は動くのかもな」

私の言葉に、彼女は「詩人ね」と返した。
でも、笑ってはいなかった。


時間が、ゆっくりと流れていた。

スチームの音、ティーカップのかすかな音、彼女の呼吸。
どれも静かで、どれも確かだった。

そのとき私は、ふと思った。

あの湯気の向こうには、まだ知らない彼女がいるのかもしれない。
けれど、いまここにいる彼女を、私はとても大切に思っている。
ただ、それだけで、充分だと。


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