『冬、ふたりで灯す灯り』第4章:冬の市と、消えない香り

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 軽井沢駅前の広場では、その日「冬の市」が開催されていた。

 地元の人々が出店する手作りのマーケットで、編み物や焼き菓子、木工品、香水、ハーブ製品などが並んでいる。

 テントの端からは白い湯気が立ち、スープの匂いとシナモンの甘い香りが風に乗って運ばれてきた。

「にぎやかですね。冬なのに、なんだか温かい」

 真理子は手袋越しにコートの襟をつまみながら、笑った。

「こういう市って、何か思いがけない出会いがある気がします」

 ふたりは、ゆっくりと店を見て回った。

 手編みの帽子、焼き立てのクッキー、北欧風のオーナメント。手に取るたび、誰かの時間や手のぬくもりが伝わってくるようだった。

 そんな中、真理子はひとつのブースの前で足を止めた。

 そこには、小瓶に詰められた香水やルームスプレーが並んでいた。ハーブや木の香り、柑橘系、バニラ、雪解けの森をイメージしたものまで。

「どれか気になる香り、ありますか?」と出店の女性が声をかけた。

 真理子は、試香紙に吹きかけられた香りをひとつずつ確かめた。

 そのうちのひとつ――優しいラベンダーとスモーキーウッドが混ざった香りを嗅いだ瞬間、真理子の目がかすかに潤んだ。

「……これ、主人が使っていた石けんの香りに、似ている気がします」

 誠は、黙ってその表情を見守っていた。

「思い出って、香りと一緒に心に残るものなんですね」

 真理子の声は、少しだけ震えていた。

 誠は、香水のボトルをひとつ選び、そっと彼女に差し出した。

「よければ……旅の記憶として、どうぞ」

 真理子はしばらく迷ったあと、静かにうなずいた。

 そのあと、ふたりは露店で熱々の野菜スープとパンを買い、焚き火台のある休憩スペースへ向かった。

 木製のベンチに腰かけ、紙カップを両手で包み込むように持つ。

「今日のスープ、体にしみますね」

「香りと一緒で、温かさも記憶になるのかもしれません」

 ふたりの間に、言葉のない時間が流れる。

 でも、それはもう寂しさではなく、どこか心地よい余白だった。

■登場アイテム紹介:第4章「冬の市と、消えない香り」

1. 【心に残る香りを日常に:天然香水】

[SHIRO パフューム オイル “スモークド ラベンダー”]

かつての記憶を呼び起こす、ウッディで落ち着いた香り。旅先のひとしずくを家でも。

▶ 参考価格:約4,000円〜

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2. 【冬の屋外でも暖かい天然素材の手編み帽子】

[フェアトレード・ウールニットキャップ(手作り)]

市場でふたりが見つけたような、やさしい色合いと手触り。寒さを防ぐだけでなく心も温める。

▶ 参考価格:約3,500円〜

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3. 【手軽に使える木の香りのルームスプレー】

[生活の木 森の香りブレンドエッセンス スプレータイプ]

市場で見つけた香りと似た、スモーキーな木立の香り。日々の暮らしに旅の記憶を添えて。

▶ 参考価格:約1,800円〜

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4. 【アウトドアでも便利な保温スープジャー】

[サーモス 真空断熱スープジャー 400ml]

冬の市で飲んだような野菜スープを、どこでも温かく持ち歩けるスープ容器。

▶ 参考価格:約3,000円〜

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5. 【冬のイベントを彩る北欧風オーナメント】

[スウェーデン製 木製トムテ(北欧小人飾り)]

市場の雰囲気そのままに。家の玄関やリビングに飾りたくなる素朴で温かな雑貨。

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